鹿児島で土地を買う前に確かめたい災害・地盤リスク シラスの崖、造成地、降灰、浸水の調べ方
鹿児島で土地を買う前に、シラスの崖、造成地の擁壁、土砂災害警戒区域、桜島の降灰、津波や浸水の想定を確かめましょう。県の土砂災害警戒区域等マップ、国の「重ねるハザードマップ」、鹿児島市の防災マップを使った調べ方を手順で紹介します。

シラス台地と崖
鹿児島県本土の半分以上を、シラスという火山噴出物の地層が覆っています。鹿児島大学の解説によると、シラスは固まっていないため、もろく、水に削られやすい性質があります。その一方で、垂直に近い崖をつくります。
鹿児島市では、台地の上に造られた団地と、崖の下の低い土地が隣り合う場所が多くあります。候補地が崖の上か下か、崖からどれくらい離れているかを、最初に確かめます。
1993年の8・6水害
1993年8月6日、鹿児島市の1日の雨量は259ミリに達しました。甲突川などがあふれ、天文館や西鹿児島駅(今の鹿児島中央駅)の周辺まで水につかりました。竜ヶ水ではシラスの崖が約4キロにわたって崩れ、住民や列車の乗客など約3,000人が孤立しました。県内で48人が亡くなっています。
鹿児島大学の解説では、鹿児島市の犠牲者の多くが土砂災害によるものだったとしています。川の近くだけでなく、崖の近くも同じように注意が必要です。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン・レッドゾーン)
土砂災害防止法にもとづき、県が区域を指定しています。
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン):住民への情報提供や早めの避難の体制をつくる区域です。
- 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン):危険度がより高い区域です。一定の開発行為が許可制になり、建物の構造にも規制がかかります。
レッドゾーンかどうかは、税金にも関わります。住宅ローン減税では、2028年以降に入居する場合、レッドゾーンに建てた新築住宅は対象外になります。建て替えや中古住宅は対象です。
造成地と擁壁
鹿児島市は、大規模な盛土で造った宅地を991か所確認し、「大規模盛土造成地マップ」で公開しています。内訳は谷を埋めた「谷埋め型」が899か所、斜面に土を足した「腹付け型」が92か所です。市は、マップに載っていても必ず危険という意味ではないとしています。
2023年5月には、盛土を全国一律の基準で規制する「盛土規制法」が施行されました。鹿児島市は市内全域を規制区域に指定し、2025年4月1日から運用しています。
擁壁(土を支える壁)のある土地では、次の点を見ます。
- 擁壁を造ったときの許可や検査の記録があるか、売主や仲介業者に聞く。
- ひび割れ、ふくらみ、傾きがないかを見る。
- 水抜き穴が詰まっていないかを見る。
- 不安が残るときは、契約前に建築士などの専門家に見てもらう。
桜島の降灰
鹿児島市では、敷地に積もった灰を市が配る「克灰袋」に入れ、「宅地内降灰指定置場」に出します。置場の場所は市の地図システム「かごしまiマップ」で確認できます。候補地から置場までの距離も、暮らしやすさに関わります。
建物では、雨どい、ベランダ、駐車場の屋根、窓や換気口の向きを見ます。桜島の噴火に備えた「桜島火山ハザードマップ」は2010年3月に発行され、2026年4月に更新されています。
津波・洪水・内水
鹿児島市は、次のハザードマップを公開しています。
- 津波ハザードマップ:県の地震等災害被害予測調査にもとづく浸水想定です。2014年3月に配布し、2020年2月に改定しました。
- 防災マップ:市を22地区に分け、土砂災害警戒区域と洪水浸水想定区域を載せています。
- 内水ハザードマップ:大雨で下水や水路があふれる浸水の想定です。2026年2月版があります。
契約前に自分で調べる手順
- 国土交通省の「重ねるハザードマップ」に住所を入れ、洪水、土砂災害、高潮、津波を重ねて表示する。「土地の特徴・成り立ち」も見る。
- 鹿児島県の「土砂災害警戒区域等マップ」で、区域の境界と候補地の位置を拡大して確かめる。
- 鹿児島市の防災マップ(22地区のPDF)、津波・内水・桜島火山のハザードマップを見る。
- 鹿児島市の「大規模盛土造成地マップ」と「かごしまiマップ」で、造成地や降灰指定置場を確かめる。
- 雨の日か雨の後に現地を歩き、崖、擁壁、側溝、道路の低い所を見る。
- 調べた画面を保存し、重要事項説明のときに仲介業者の説明と照らし合わせる。
重要事項説明での水害リスクの説明
2020年8月28日から、不動産取引の重要事項説明で、水害ハザードマップ上の物件の位置を示すことが義務になりました。対象は、市町村が水防法にもとづいて作る洪水・内水(雨水出水)・高潮のハザードマップです。売買も賃貸も対象です。土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域の内か外かは、それ以前から説明の項目でした。
国土交通省は、浸水想定区域の外であっても、水害の危険がないと誤解させないよう求めています。
次にやること
- 候補地の住所を「重ねるハザードマップ」に入れ、画面を保存する。
- 仲介業者に、重要事項説明書の案を契約日より前にもらえるよう頼む。
- 擁壁や地盤が気になる土地は、契約前に専門家の意見を聞く。
出典・参考資料
- 鹿児島県 土砂災害(特別)警戒区域の指定状況
- 鹿児島県 土砂災害警戒区域等マップ
- 国土交通省 ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)
- 国土交通省 報道発表資料:不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化
- 国土交通省 住宅ローン減税
- 鹿児島市 防災マップ(鹿児島市防災ガイドマップ裏面)
- 鹿児島市 津波ハザードマップ(令和2年2月)
- 鹿児島市 大規模盛土造成地マップ
- 鹿児島市 宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)
- 鹿児島市 克灰袋の提供
- 鹿児島大学 かだいおうち:シラス
- 鹿児島大学 かだいおうち:甲突川と8・6水害
- 気象庁 災害時気象報告(平成5年7月31日〜8月7日の大雨)
- Yahoo!天気・災害 平成5年8月豪雨・鹿児島8.6水害
本サイトは不動産の売買・仲介を行うものではありません。掲載情報は執筆時点のもので、取引の判断はご自身の責任で行ってください。

