不動産を売る流れと査定のしくみ 媒介契約・仲介手数料・税金の基本
家や土地を売るときは、査定価格の根拠を確かめ、媒介契約の種類を選び、手数料と税金を先に計算しておくことが大切です。取引事例比較法、一般・専任・専属専任の違い、仲介手数料の上限、譲渡所得の計算、自分で相場を調べる方法をまとめました。

写真: _steffen / CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons、縮小・トリミングして使用。ライセンス)
制度の内容は2026年9月時点のものです。本サイトは不動産会社ではなく、査定や仲介の依頼は受けていません。
売却の流れ
- 自分で相場を調べる
- 不動産会社に査定を頼む
- 媒介契約を結ぶ(仲介で売る場合)
- 販売活動、内覧対応
- 買主と売買契約を結ぶ(手付金の受け取り、契約書への印紙)
- 決済・引渡し(残代金の受け取り、住宅ローンが残っていれば抵当権の抹消)
- 売った翌年に確定申告をする(利益が出た場合や特例を使う場合)
査定のしくみ
机上査定と訪問査定
机上査定(簡易査定)は、所在地・面積・築年数などの情報と、周辺の取引データから価格を出す方法です。現地を見ないので早く出ますが、建物の傷み具合や日当たりは反映されません。
訪問査定は、担当者が現地で建物の状態、接道、境界、周辺環境を確認して価格を出します。時間はかかりますが、実際の販売価格を決めるなら訪問査定が前提です。
査定価格の出し方
国土交通省の不動産鑑定評価基準では、価格を求める基本の手法は3つです。不動産会社の査定もこの考え方を使います。
どの手法でも、元になる取引事例の選び方で結果が変わります。査定額の根拠になった事例を見せてもらうと、高すぎる・低すぎるの判断がしやすくなります。査定額だけで会社を選ぶと、売れずに値下げを重ねることがあります。
自分で相場を確かめる方法
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、不動産の取引価格・成約価格、地価公示・地価調査、防災情報、都市計画情報を地図で見られます。鹿児島市内なら、町名単位で過去の取引価格を探せます。
「レインズ・マーケット・インフォメーション」は、不動産会社が使う指定流通機構(レインズ)の成約価格を、個人が特定できない形で公開しているサイトです。マンションと戸建てを、地域や築年数などの条件で検索できます。
媒介契約の3つの種類
レインズの登録日数は、不動産会社の休業日を含みません。専任・専属専任では、登録済みを示す書面(登録証明書)を受け取れます。
仲介と買取の違い
仲介は、不動産会社が買主を探し、売主と買主が売買契約を結ぶ方法です。成約したら仲介手数料を払います。
買取は、不動産会社そのものが買主になる方法です。仲介ではないので仲介手数料はかかりません。買主を探す期間がいらないため、早く現金化できます。一方、会社は買ったあとの改修や再販の費用、利益を見込んで価格を決めます。相場との差は、査定額を比べて確かめてください。
仲介手数料の上限
宅地建物取引業法にもとづく国土交通省の告示で、上限が決まっています。売買価格のうち200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円を超える部分は3%で、これに消費税がかかります。400万円を超える物件は、次の式で同じ額になります。
これは上限で、この額を必ず払うという決まりではありません。 2024年7月からの特例で、800万円以下の宅地・建物(低廉な空家等)は上限が33万円(税込)まで引き上げられました。特例を使うには、媒介契約の前に説明を受け、合意することが必要です。
売却にかかる税金と費用
譲渡所得の計算
売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税と住民税がかかります。
譲渡所得 = 売却代金 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
取得費は買ったときの代金や購入時の費用です。建物は古くなった分を差し引きます。親の代に買った土地などで購入額が分からない場合は、売却代金の5%を取得費にできます。譲渡費用は仲介手数料、測量費、売るための解体費などです。
税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで変わります。
- 5年超(長期譲渡所得):所得税15%、住民税5%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)。合計20.315%
- 5年以下(短期譲渡所得):所得税30%、住民税9%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)。合計39.63%
住んでいた家なら3,000万円控除
自分が住んでいる家、または住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る家なら、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。親子や夫婦など特別な関係の人への売却は対象外です。前年・前々年にこの特例を使っていないことなども要件です。所有期間10年超なら、軽減税率の特例と併用できます。
税金以外の費用
- 仲介手数料(仲介で売る場合)
- 売買契約書の印紙税。2027年3月31日までに作る契約書は軽減措置があり、1,000万円超5,000万円以下なら1万円です。
- 抵当権抹消の登記費用(ローンが残っている場合)
- 測量費、解体費、引っ越し費用など
次にやること
- 不動産情報ライブラリとレインズ・マーケット・インフォメーションで、近くの成約価格を5件ほど書き出す。
- 購入時の売買契約書や領収書を探す。見つかれば取得費に使えます。
- 住んでいた家か、いつ住まなくなったかを確かめ、3,000万円控除の期限を計算する。
- 査定は複数の会社に頼み、根拠の事例と媒介契約の種類をそれぞれ確認する。
出典・参考資料
- 国土交通省 不動産取引に関するお知らせ(消費者の皆様向け)
- 国土交通省 法令・不動産鑑定評価基準等
- 近畿レインズ 媒介契約制度とは
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ
- 国土交通省 報道発表「不動産取引情報提供サイト(REINS Market Information)」をリニューアル
- 国税庁 タックスアンサーNo.3208 長期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁 タックスアンサーNo.3211 短期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁 タックスアンサーNo.3258 取得費が分からないとき
- 国税庁 タックスアンサーNo.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 タックスアンサーNo.7108 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
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